第7章 惑いの往く末 後編 *【🌹 、not 最終行為】
「オレが、一番あなたを想ってるのに」
「う、そ………。」
思わず零れ落ちてしまった声に、より強く抱きしめる。
「まだ、オレの言葉が信じられないっすか?」
首筋に顔を埋めながら囁かれる。
その唇の熱さに戸惑いながら、ヴァリスは凍りついたように動けなかった。
「……………。」
どう答えていいかわからずに唇をかむと、夜着の前を合わせていたリボンに触れる。
「じゃあ………信じさせてあげますよ」
はっと息を呑んだ時には、しゅるりとリボンが解かれていた。
剥ぐような手付きで胸元を乱し、夜着の袖を引き抜かせる。
そして、シュミーズに指がかけられた。
ぐっ………と強い力で引き下ろすように引っ張られると、
薄絹の下着はビリビリと無惨に裂かれてしまう。
「アモン……!」
ふるりと揺れる胸を指で必死に隠していると、とん、と肩が押され、彼がのしかかってくる。
指を磔のように頭上で束ねて押さえ付けられ、
自分の身体の輪郭を全身くまなく辿るように、熱い視線が這わされた。
「アモン……!待って……!」
押さえ付けられた掌の下で激しく抗えど、その指の力が解けることはなかった。
せめてもの抵抗と首を振り、乱れ髪が少しでも身体の線を隠すよう試みる。
けれどそのささやかな反抗は、アモンには逆効果だったようで、
くすくすと微笑いながら再度唇が降ってくる。
「そんなに震えられると、ますます離せなくなるっすね」
首筋に吸い付いては、真っ白な肌を点々と彩るように、紅い花が刻まれていく。
吸引された箇所から伝う、ちりちりとした仄かな痛みがヴァリスの心を灼いた。