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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第8章 病魔 後編 *【🫖】


「すぅ、………すぅ、」

眠りに落ちた彼女を抱きしめ、そして気づく。



「!」

いつの間にかその身を染め上げていた紅い斑点が消え去り、

より強く薫っていた芳香はいつもの控えめなものへと変貌っている。



呼吸は落ち着きを取り戻していて、ほっと安堵の息をつくとともに、染みのように広がる思考。



(恐らく先程のあの症状こそが、主様の秘密なのでしょう)

不慮のこととはいえ、主様にふれた。

けれど後悔を感じてはおらず、寧ろ温かく滲んだ想い。



(また一つ、貴女を知れたような気がするのです)

振動を与えぬよう慎重に、彼女を一層強く包み込む。



「貴女を苛む不吉に、私が引導を渡しましょう」

頬にキスをして、彼もまた瞼をとじる。



窓の外で煌めく満月(みつき)が、重なる影を隠すように翳っていた。
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