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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第5章 病魔 後編 *【🫖】


「ふ、………ぅ、」

フラ、フラ、ともたつく脚を叱咤して、やっとの思いで自室へとたどり着く。

力の抜け落ちた手でノブを回し、素早く足を踏み入れた。



(あの薬……みつかって………!)

デスクにつかまりながら引き出しを探り、紅い錠剤のつまった小瓶をとり出した。



きゅっ……と震える手で蓋をあけ、ひと粒の錠剤を口に含む。

だけど小瓶を置こうとした指は、誤ってそれを落としてしまった。



硝子の破壊音が室内に響く。グラスを手に取り、ひと粒のんだ。



………けれど。




(どうして……!?)

常ならば服用直後に鎮まる火照りも、変わらず呼吸すら儘ならなくて。



咽喉に詰まるような吐息は、みずからの耳にも苦しげに聞こえた。



ゆっくりとその肌を染め上げる、紅いあかい花びらのような斑点。



極め付きは自分でもとらえることができる程に、

みずからの肌から蒸発する———桜と桜桃を混ざりあわせたような芳香がより強く薫っている。
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