【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第18章 心の壁【3月】
side.仁王雅治
「名前は、ここに住んで立海に通うんじゃ」
「でも…」
「譲らん」
「…」
考えていること
言わんとしていること
それが分かる。
大方、俺がいなくなった時の保身だ。
でも、これだけは譲れない。
今度は俺を信じて求めて欲しい。
「俺が決めたんじゃ。文句は言わせん」
「そんな、横暴な…」
「俺は名前と一緒に学校行きたいと思っちょる」
「…私も、そう思うよ。…でもね_」
言葉を遮るように彼女の頬を包み、目を見据える。
「俺は絶対に名前を手放さん。名前がおらんとダメなんじゃ。頼むから俺の側におって?」
「…わかった」
「絶対に裏切らんし、今度は俺が名前を守る。だからな…」
「…側にいればいいんでしょ?」
「そうじゃ」
俺の言葉に申し訳なさそうな、悲しそうな表情で笑う名前。
俺と衝突することを避けて、我儘を何でも聞く。
そんな君は、弱い俺の側にいればいい。
お前さんがいなければ、絶対に俺は成り立たない。
悲しい。
寂しい。
そんな負の感情に支配されて、また崩れるような気がして不安なんだ。
でも、いつか…
お互いに信じあえる仲になたい。