【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第18章 心の壁【3月】
side.名前
「なあ?ところで名前はいつからおったんじゃ?」
「…数時間前かな?目が覚めたらこっちにいたの」
「そうなんか」
「うん。でも鏡見たら10歳くらい若くなってるからびっくりしたよ」
「………」
「えっ!?何?その間!?まさか気づかなかったの!?」
「いや!そもそも年齢詐称じゃったき、気づかんぜよ」
「ひどっ!これでも17歳くらいだよ!」
「…まあ、ええじゃろ。それより、これからどうするか考えんといかんな」
「…(話そらした)まあ、そうだね。とりあえず私の戸籍ってあるのかな?」
「そうじゃな。ちーと調べてみるか」
雅治くんは携帯を片手に部屋を出て行ったので、きっと誰かに連絡をするのだろう。
雅治くんとの感動の再会(私たちの空気を察して、体調不良という理由をつけて部活を早退させて頂いた)を果たした私は、これからどう生きていくか考えなければならない。
税金や年金の義務が無くなったとて、健康保険や住居、生活費は必要だ。
そのためにはお金。
やはり働き口を見つけなければならないのだろう。
それに学歴がないというのは将来不安だ。
やっぱり仕事しながら定時制が無難かな?
なんてことを悶々と考えていると、電話が終わったらしい雅治くんがドアを開ける音がした。
しかし戻ってくるなり、なにやら真剣な面持ちの雅治くん。
「名前、これからのことやきに…」
深刻そうに私の目の前に胡座をかいて腕組みをする。
これは何か不都合が生じたのかもしれない…
心配になった私も、真剣な顔で向き直った。