【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第15章 もう隣にいない【2月】
side.名前
始まりは広大な海。
あの出逢いは、きっと神様がくれた奇跡なんだと今では思う。
雅治くんが消えた日。
朝、目覚めると、彼の部屋ではなく自分の部屋にいた。
そこで雅治くんは、彼のいるべき世界に帰ったのだと痛感する。
長い夢をみていたのかもしれない。
そう思ったけど、自分の体に付いた雅治くんの香りが現実だったと物語る。
初めて出逢った時。
雅治くんには言えなかったけど、私は疑問に感じてた。
雅治くんは、あの向上心のすごいテニスの世界に疲れたんじゃないの?
こっちの世界で、見失った自分を取り戻したんじゃないの?
そして、いつか…
自分を見つけた貴方は、
きっと私の知らない世界に帰ってしまう。
何となくそう予感してた。
信じて願っていたのに…
何なんだろう?
この苦しい程に込み上げてくる感情は…
胸にぽっかり穴が空いた気がする。