【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第14章 行ってらっしゃい【2月】
side.仁王雅治
俺はこっちに帰ってきたのか?
「むっ!まだ寝ぼけているのかっ!?」
「いやいやいや、めっちゃ起きちょる!ただ真田がおることが信じられんけぇ!だから裏拳は勘弁して!」
俺が呆然としていたせいで、真田がまた拳を握った。
それを見て必死で懇願する。
このやり取り…
明らかに現実だ。
俺の態度に「むっ。ならば良いが…」と納得し、手を引っ込める真田。
ホッとしていると「ところで仁王…」と言葉を探る真田を怪訝そうな顔つきで見上げる。
「今日の部活は…その…出るのか?」
「、!!出る!!」
「、!!」
“部活”その言葉に胸が躍るような気分になり、間髪入れずに答えた。
やっとテニスができる。
嬉しくないわけがない。
以前の俺の素行を知る真田は、驚いた様で目を丸くする。
俺は変わったんだ。
大切なものは、もう失くしたくない。
呆然としている真田に微笑んだ。
「部活行くぜよ。真田」
俺は帰ってきた。