【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第13章 好いとうよ【2月】
side.名前
私の隣に腰をかける雅治くん。
肩を抱き寄せられ、私は彼の肩に顔を埋めた。
「俺な、名前と会う前まで自分のこと嫌いじゃった」
「………」
「何のために存在してるのか分からなくてな。ずっと孤独じゃった」
雅治くんが、ポツリポツリと胸の内を明かす。
「でもな、今の俺は嫌いじゃないんよ」
「…どう、して?」
鼓動が早まる。
「名前が側におってくれるようになってからな。寂しくないんじゃ」
私もだよ。
「不思議とな。お前さんが側におるだけで心が満たされるんじゃ」
それも一緒だね。
「俺は今まで仲間にも一線置いとった部分がある」
それも同じ。
「でも名前だけは違う。こんな俺でも好いとう女に必要とされるのは嬉しい」
私も嬉しかった。
「お前さんだけは何があっても側におってくれると信じられた。実際、本当の俺を見せても側におってくれた」
雅治くんの言葉に涙が溢れる。
自分が嫌いだった。
自分の存在意義が分からなかった。
孤独で寂しかった。
雅治くんと出会ってから、心が満たされてた。
雅治くんに必要とされるのが嬉しかった。
雅治くんだけには、包み隠さず本当の自分を曝すことができた。
私たちの共通点は自分自身だ。
繋がるピースが脳内で彼との別れを告げている。
私は雅治くんに抱きつき、涙が枯れるほど泣いた。