【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第12章 カルテの病名って… 【2月】
side.仁王雅治
「雅治くん、お茶入れるね」
何事もなかったように、湯を沸かす名前。
その姿を見て、いよいよ我慢していた涙が零れた。
今だけは俺のこと見ないで。
「雅治くん、コーヒーの方が良いかな?って、どうしたの?」
「…何でもなか…」
「何でもなくないよ。どうしたの?」
「…名前…どこにもいかんで」
「えっ?」
「怖かった。名前がおらんくなる思った」
「…そっか…ごめん」
名前には何度も見苦しい姿を見せている。
それでも彼女は優しくて、俺が泣きやむまで抱きしめてくれた。
名前は不思議だ。
「側にいる」と言ってくれた時はもちろん嬉しかった。
それでも俺の孤独が消えることはなかったのに…
今、君の腕の中にいるとひどく安心する。
「名前ちゃん、カルテの病名ってウンコなんか?」
「そんなこと知らないよ!!」
一人じゃない。
俺には名前がいる。
君に触れていると孤独じゃないと思えた。