【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第11章 結婚して【2月】
side.名前
そんな顔で見られと不安になる。
「名前」
「何?」
「結婚して」
「ぐふっ!?」
何かの聞き間違いだと思う。
思わずむせてしまった。
「このハンバーグ、うまい!!俺と結婚して」
何故そこに結び付くのか分からないよ。
でも「うまい」の一言はとても嬉しかった。
「ハンバーグなんて、結婚しなくても作れるよ」
「これなら毎日食う」
「いやいや偏食を直そうよ。心配だよ。切実に」
「だから結婚して」
「どうしてそうなるのかな?」
雅治くんの求婚攻撃に耐えながら、楽しい晩餐を終える。
そして帰り支度を始めた。
「泊ってかんのか?」
「うん、今日はお泊りセット用意してないから」
「それなら大丈夫じゃ!」
自信満々の彼に「ん?」と眉間にしわがよる。
何が大丈夫なんだろう?
「こんなこともあろうかと俺が洗濯しといたナリ」
そう言って、出してきたのは私の下着だった。
「ぎゃー!!何で!?いつの間に!?」
「昨晩こっそり洗っといたんじゃ」
ニヤリと笑う雅治くんに呆れて、盛大な溜息が洩れた。
最近の雅治くんは私を困らせる。
「わかった…泊るよ」
観念しよう。
そんな我儘も許せてしまうのは、私が彼に惹かれている証拠だ。