【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第10章 私のこと好きなの?【2月】
side.仁王雅治
名前に掴まれている腕を少し動かし、小さな手をぎゅっと握り返す。
彼女を守るように、俺の腕の中に包み込んだ。
そして、名前が「一番好き」と言っていた曲を歌う。
「…ふはっ!何で?何でいとしのエリーなの?」
やっと笑った名前と目がかち合う。
俺は彼女の瞳から零れる涙を指で拭った。
「そんなん単純じゃ。お前さんが俺のエリーじゃけぇ」
「何?それ」
「さあの?」
「練習した?」
「さあの?」
「私のこと好きなの?」
とぼける俺に、ふざけて問うてくる俺のエリー。
そうだ。
俺にとって君は最愛の人なんだ。
楽しそうに笑う名前。
俺はその笑顔を一生守っていきたいと思っていたんだ。