【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第10章 私のこと好きなの?【2月】
side.仁王雅治
ピンポーンと鳴る機械音が、来客を知らせる。
玄関を開けると名前が俯いて立っていた。
「名前ちゃん?合鍵は?」
突然の訪問に驚きながらも、疑問に思ったことを問う。
すると返ってきたのは、返事ではなく鳩尾への衝撃。
名前がドンッと抱きついてきた。
ぐっ…
地味に痛い…
息を整えていると、名前の啜り泣く声が聞こえてきた。
「名前?どうした?」
俺の胸に顔を埋めて泣く名前。
どうやら職場で上手く立ち回れていないらしい。
例のお話にならない上司か…。
面識はないが、名前の口から度々仕事の愚痴は聞いていた。
とりあえず玄関先でこの状態も寒いため、名前を俵のように担いで靴を脱がす。
そのまま室内へ連れて行き、ベッドに下ろした。