【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第7章 世界一不思議な人【1月】
side.名前
雅治くんの言葉に胸がぎゅっと締め付けられた。
昨日、私は彼氏と会っていた。
歯車がかみ合わなくなっていく関係に、どうしたもんかと考えていたら、何故だか雅治くんの様子がおかしくなる。
「嫉妬、してるの?」
「………」
何も言わない雅治くん。
………
この無言は肯定?
何だろう。
すごく愛しい。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に私の体勢は非常に辛い。
私の上に覆いかぶさっている雅治くんが重いのだ。
とにかく苦しい。
彼氏なんかより、今の雅治くんをどうにかしなければ私は窒息死してしまうだろう。
「雅治くん」
「………」
「私はここにいるよ?」
「………」
「雅治くんの側にいるよ?」
「………」
「雅治くんのことしか考えない」
大丈夫。
私はここにいる。
雅治くんの側にいる。
誰も見ない。
もう雅治くんのことしか見れない。
「…ほんまに?」
やっと目線を合わせてくれた雅治くんにドキッとする。
不安そうな顔が堪らなく愛しい。
ヤンデレとはこのことをいうのだろうか。
先程の鬱憤が清々しく晴れていく。
あ…
この気持ち…
どうやら、私は恋をしたようだ。
世界一不思議な人に。