【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第7章 世界一不思議な人【1月】
side.仁王雅治
幼い顔立ちに少し鼻にかかる声。
細身の小さい背丈に少し癖のある髪。
仕草は何となく愛らしい。
名前と初めて会った時、
“まあまあ可愛い子”
その程度にしか思わなかった。
それが今となれば、名前を構成する全てが可愛いと思う自分がいる。
彼女の無邪気に笑う顔を見た日には、かわい過ぎるが故に、もう悶絶する勢いだ。
こんなにも惹かれて始めたのは、いつからだろう。
俺のことを覚えた唯一の存在は、その愛らしい顔にそぐわない性格をお持ちだ。
甘い顔のわりに時折ズバッと苦い言葉を言い放つところや、すぐに熱くなって意地を張る頑固な性格。
負けず嫌いの努力家なくせに変なところですぐに折れる素直さや、クールに見せて実は情に脆くよく涙する。
小さい体で懸命に、率直に、不器用に生きていく姿がいじらしくて、初めて他人を守りたいと思った。
一生俺の側で笑っていて欲しいとまで思う。