【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第6章 俺の全てが君のために【1月】
side.仁王雅治
名前は誰かを傷つけた。
もちろん故意じゃない。故意ならそんなに脅えるもんか。
そして、その分自分も傷ついた。
故に他人を寄せつけんようになった。
誰も受け入れない。
拒絶の瞳。
自己防衛しとる俺と一緒じゃな。
「名前。言うて?」
「…人が、怖い」
「………」
人が怖い、か。
何故、人を拒絶するのか。
彼女の過去に一体何があったのか。
それを無理聞こうとは思わない。
狡い、逃げるな、卑怯だ、醜い。
なんて俺は思わない。
世界中の人が名前を咎めても、俺だけは絶対に…
「手荒くしてすまん。じゃけえ、俺は名前の味方じゃ」
だから頼む。
どうか俺だけは拒絶しないで。
どうか受け入れて。
「名前がどんなに酷いことしても、名前が辛いことから逃げても、お前さんの味方じゃ」
「…何、で?」
「そんなん決まっとる」
「………」
「おまんは俺の女じゃ」
しがみついて泣く名前を抱きしめながら思う。
俺は彼女のために存在しているんじゃないか。
名前の不安を取り除くため。
名前の心を癒すため。
名前を守るため。
俺の全てが君のために。