【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第6章 俺の全てが君のために【1月】
side.仁王雅治
俺の洞察力は凄まじい。
目の動きで相手のディフェンスの動きが読めるほどだ。
空気というか、雰囲気というか、そういうのを一瞬で感じとってしまう。
それ故、小さい頃から変に気を揉むことが多かった俺は、いつしか人を避けるようになった。
人を見透かしてしまう洞察力は、時として非常に役立つが、場合によっては人の浅ましさを垣間見てしまうのだ。
人の醜さは嫌い。
だからこそ、俺は人に心の内を曝すことを極度に嫌い、日常でもテニスでも仮面を被ることによって、自分防衛をした。
それを詐欺師と呼ばれるようになったのはいつからだったろう…。
今回も、俺は容赦なく見抜き、儚く折れてしまいそうな精神状態の名前に追い打ちをかけてしまう。
事の始まりは、彼女に言われた付き合う条件だった。