【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第41章 決着【6月】
side.幸村精市
「私を殴って気が済むなら殴りなよ。でも約束して」
「何を…」
「二度と雅治くんに手を上げないで」
「はっ!?」
「私は雅治くんが大事なの。だから、例えどんなひどい理由があったとしても、雅治くんを傷つける人を許せない!」
「………」
「だから雅治くんに二度と手を上げないで」
「………分かった…」
「…それからテニスもっ…テニスだけはっ…雅治くんから取らないでっ!」
これだけの大乱闘をしておいて、
漸く大粒の涙を流す名前を見て思った。
名前は本当に仁王のことが好きなんだ。
なんて良い子なんだろう。
そのまま泣き崩れてしまった名前を仁王が抱きしめる。
「ありがとうな、名前」
「………ごめっ…私っ…私には何も…ない…」
「十分じゃ。ありがとさん」
仁王は悔しそうに泣く名前に、優しく微笑みかけた。