【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第40章 戦う女達【6月】
side.幸村精市
「あなたたちの相手は私でしょ?」
「で、でも―」
「女の話し合いに男は関係ないでしょ?埒あかないから彼女代表出てきなよ」
………
先程から名前の口調が随分と荒荒しくなってきている。
名前の素はこんな子なのか?
促されておずおずと前に出てくるファンクラブの会長。
哀れなくらい戸惑っている。
名前はそんな会長の前に立ち、俺たちや取り巻きの女子たちに威圧的な目配せをする。
「あんたが代表?じゃあ外野は黙っててね。さっきの別れる理由の件ね。私には、雅治くんはテニスと私が好きなだけのようには聞こえたけど、あんたにはどう聞こえたの?」
「…確かにそうかもしれないけど、でも―」
「あなた、雅治くんの彼女代表のはずでしょ?自分の男の応援も尻拭いもできないでどうするの?」
「尻拭いって何よ?」
「この女の子たちどう収拾するの?あなたは、余所でほいほい女の子作ってきた男の面倒見きれてないじゃない。女として最低だよ」
「、!!だからあんたが憎いんじゃない!」
「私なら余所で女作らすようなへましない。あんたは彼女代表失格だよ」
「、!!うるさいっ!!」
名前の発言にカッとなった女子が手を振りかざし、化学室には再び“パンッ”と乾いた音が響き渡った。