【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第39章 女達の戦い【6月】
side.幸村精市
「だいたい雅治の方がどっからどう見てもカッコイイじゃない」
「まあ中には真田くんのファンもいることはいるけど、私たちはごめんだわ」
「弦一郎くんだって、あんたたちみたいな女なんか願い下げだよ」
「はあ?」
「弦一郎くんは真っ直ぐな人だよ!そういう姿勢を素敵だと思う!まだ仲良くなって日は浅いけど、あんたたちなんかにはもったいないくらいカッコイイ人だよ!」
「じゃあ、あんたが真田くんとでもヤッてれば?雅治は返してもらうわよ」
「あははっ!それいいー!」
女子たちの真田を侮辱する笑声が廊下まで響く。
そんな中でも名前の言葉が心に染みていく。
「名前は真田の不器用さを分かってくれるんだな…」
俺が呟くと、みんなの口元も弧を描く。
自分が言われたわけでもないのに少し嬉しくなった。
あの仁王が選んだわけだし当然と言えば当然かもしれないけど、俺たちの外見ではなく内面を見てくれる子なんだ。
テニスをする姿勢も、男としての生き様も含めて。
俺たちが感嘆した瞬間“パンッ”と乾いた音が中から聞こえた。
同時に「返すも返さないも、雅治くんはものじゃねーんだよ!!」と名前の荒げた声が聞こえた。