【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第38章 踊る大捜査線【6月】
side.幸村精市
「あれ?あれ、真田副部長じゃないッスか?」
さすが忠犬アカ公。
屋上を出るや否や早速何かを嗅ぎつけたようだ。
赤也が指差す方に視線を向けると、屋上に繋がる階段を下った広場には、本当に真田の後ろ姿が見えた。
俺たちより先に出たはずなのに、木偶の坊か?あいつは。
俺たちは真田に近づき声を掛けた。
「真田。名前はどうしたの?」
「幸村、赤也…。名前は、仁王の取り巻きの女子について行った…」
「「はぁ?」」
真田から事情を聞いて、こいつは馬鹿か!?と本気で思った。
名前が女子たちについて行ったとか、ありえないだろ!?
しかも仁王の取り巻きって、けっこう過激派だろ!?
流石の俺でも焦る。
「ちょっ!それやばくないッスか!?」
「真田、お前それを見す見す行かせたのかい?」
「しかし、名前本人に自分も話したいと頼まれて―」
「いやいや、頼まれてもそれは未然に防ぐべきッスよ!」
忠犬アカ公のお咎めに「すまん…」と心底罰が悪そうに謝る真田。
お前は何でそんなに不器用なんだ…と呆れた。