【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第36章 長閑な昼休みの事件【6月】
side.幸村精市
それはある日のお昼休みのことだった―
「名前ー?」
「ん?何?菜摘」
4限の授業が終了するや否や、名前に詩織さんが話しかけた。
別に盗み聞きをしているわけではない。
俺の席は名前の前席だから、必然的に会話が耳に入るのだ。
「今日のお昼休み1人で平気?」
「えっ?何で?」
「私と華子ね、放送委員の当番なの」
「2人とも放送委員だったの?」
「うん、だからね、今日のお昼は放送室にいなきゃいけないの。ごめんね」
「そうなんだー…うん!わかった!大丈夫!」
「本当に平気?」
「うん!全然平気だよ!それより急がなくていいの?」
「あー。ちょっとヤバイ。ごめんね。じゃあ行ってくるね」
「うん!行ってらっしゃーい」
「華子ー!!行くよー!!」
「あー!!しーちゃん!!ちょっと待ってー!!」
賑やかに教室を出て行く詩織さんとなっちゃんさん。
ふーん。
今日、名前は1人ぽっちなのか。