【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第34章 立海テニス部の方々【5月】
side.名前
「………あの、私、苗字名前です」
重々しい沈黙に耐えきれず、とりあえず自己紹介しました。
き…
気まずい。
あの後、外ではあれなので…。
という理由で中に入った丸井くんたち。
ご立腹の雅治くんに随分と脅えているようだった。
「仁王、悪かった。赤也がどうしてもこいつに会いたいっていうから」
「ちょっ!丸井先輩っ!名前先輩!!」
「えっ!?私!?」
そんな命乞いをされても…。
こんな空気じゃまともな会話もできないよ。
申し訳ない。
すると、観念したように雅治くんが「はぁー。もう好きにせい」と盛大な溜息を残して台所へ消える。
きっとお料理の続きをしてくれるのだろう。
それを見届けると、今まで黙っていた丸井くんたちも一斉に話しだした。
「あー!マジびびった!」
「仁王があんなに嫌悪感剥き出しにすっとはな!」
「つーか、あんたが名前先輩ッスよね!?」
「えっ?うん、そのはずだけど…」
「赤也!先輩に向かってあんたはねえだろ!」
「あ、すんません!」
「つーかよ、マジで地味な顔してんな!」
“ガーン”
かなりのショックだ。
可愛い顔して、言うことは体重と比例するヘビー級チャンピオンである。
「違うよっ!!」
「な、何がちげーんだよ!?」
「みんなが派手なんだよ!!」
「いやいや!否定になってねえだろ!」
「うっ!………雅治くーん!!」
ちきしょう!
人の顔を馬鹿にしやがって!
私は悔しくなって台所に居る雅治くんに泣きついた。