【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第28章 ゲリラ放送【4月】
side.柳蓮二
4限の授業終了後___。
チャイムが鳴り終わるや否や、昼休みを迎え騒がしくなる教室内。
今日もいつも通り仲間と屋上で昼食をとる予定だ。
俺が鞄から弁当の入った包みを取り出したところで、各教室に設置されているスピーカーから“ガコッ”とスイッチの入る音が聞こえた。
『あーあー。マイクテスッマイクテスッ』
………
この声は精市?
『ちょっ、勝手に困りますって!!』
『あーあー。ねえ、これマイク入った?』
………
あいつは一体何をしているんだ。
突然のゲリラ放送に俺は思わず目を見開いてしまい、周りにいたクラスの奴らを驚かせてしまった。
だが、予想だにしていないことが起こったのだから仕方あるまい。
果たして目的は何なのか?
暫く続きそうなので、もう少し聞いてみようと思う。
『このボタン何?』
『あっ!!勝手にさわらっ、あああああ!!』
~ピンポンパンポン♪~
『ふーん。今のなかなか良いね』
『あああ!!ホントに勘弁して下さいっ!!』
~ピンポンパンポン♪~
『迷子のお知らせを致します。3年C組、苗字名前さん。真田弦一郎くんが探しております。速やかに中庭へ向かって下さい。繰り返します―』
精市の声が学校中に響き渡った。
………
もう一度問いたい。
あいつは一体何をしているんだ。
だが、今の内容でこの放送の目的が名前を探していることは十分に理解できた。
俺は本日の放送委員を哀れに思いながらも、身支度を整えてB組に向うことにする。