【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第26章 注射は誰でも嫌だよね【4月】
side.幸村精市
「………」
「はい、じゃあ親指をしまってぐっと握って下さいねー」
「、!!はい」
「………」
「じゃあ、ちょっとチクッとしますよー」
「、!!!!!」
「(採血怖いのかな?)…名前、大丈夫?」
「はい、力抜いて下さいねー」
「精市くんっ!!助けて、無理っ!!」
………
不謹慎だけど、やばい…。
これは萌え…
じゃない、可愛い。
今日は年に一度の健康診断。
毎年行っているし、俺は入院していた経験もあるからこういうことには慣れっこだ。
特別気にすることもなくいつも通り検診を受けていた。
そして男女別の検診だとしても、名前の順番的に何かと重なる名前に自然と視線が向いてしまう。
すると採血の時になって、隣同士になった名前。
余程注射が嫌なのか、目をぎゅっと瞑りカチンカチンに強張っていたのだった。
大丈夫かな?
何となく思い声をかけると、涙目で助けてと手を伸ばしてきた。
えっ?
俺はどうすればいい?
取り敢えず俺は名前の手を握った。