【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第20章 お受験戦争【3月】
そして、試験終了後。
「はあー」と無事に試験が終わったことに安緒のため息を吐いた私は、机の上にでちょっと伏せた。
試験の手応えはけっこうあった。しかし、いくら私の手応えがあったとしても、この学校のレベルに相応しなければ意味がない。後は合格通知を待つのみだ。
余力があれば、この後立海テニス部を見学したかったけど、今の私はクテクテで最早このまま寝れそうなくらい疲れ切っている。
そんな状態になりながらも部活をしているであろう雅治くんに一通のメールを送信し、私は散らかったシャーペンを1つ1つ拾い上げながら帰り支度を始めた。
その頃立海テニス部は更に大変なことになっていた。
「柳生ー!参謀ー!名前ちゃん試験終わったって!」
携帯を片手にコートを走りまわる雅治くん。
「何ですって?出来栄えは?」
詰め寄る比呂士くん。
「名前は今どこにいるんだ?」
思案する蓮二くんが目撃されたという。
何だか物々しい様子の3人に他のレギュラーは唖然とする。
「幸村、申し訳ないが、今日は部活より大切な用事があるため、俺たちはこれで失礼をする」と部長の否応なしに部活を切りあげた3人によって、更に呆然とする部員たち。
「一体何があったんだ…」
とその様子をただ立ち尽くして見ていたという。
帰宅途中、眠気でフラフラとする私は、後ろからガッと支えられてそれが雅治くんだと気づいた瞬間、意識を手離した。
「全く、気が気じゃありませんね」
「しかしよく頑張ったな」
「ああ。柳生も柳もありがとうな」
「いいえ。これで名前さんと一緒の学校に通えると思えば安い物です」
「ふっ。これから賑やかになりそうだな」
「………柳生も柳も、ちっと過保護すぎやしやせんか?」
3人がそんな会話をしていたことを眠っている私は知らない。
そして後日送られてきた郵便物の中には、私の合格を認めた書類が紛れていたのであった。