【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第19章 家庭教師【3月】
side.名前
「雅治くんお茶切れてるよ!」
「ありゃ!ちょうど醤油もきらしとるんじゃ…名前ちゃん。お遣いお願いできんか?」
「うん、いいよ」
カバンからお財布を取り出して、玄関へと急ぐ。
「行ってきまーす!」
「待て、名前」
靴を履き終えて、出ようとすると、蓮二くんに止められえた。
「これを持っていけ」
持たされたのは携帯電話。
「気をつけなさい」
頭を撫でてくれる蓮二くんはなんだかお兄ちゃんみたいだ。
そんな蓮二くんと雅治くんに「行ってきます」と私は玄関を出てコンビニへ走る。
「「………」」
「…参謀」
「…何だ?」
「顔ニヤついとるぜよ」
「ふっ。小動物のようでかわいいな」
「…名前はやらんぜよ」
「案ずるな。妹を見ているような気分だ」
「………」
試験まであと10日。
蓮二くんのおかげで難易度の高い立海受験に希望が見えた気がした私は、雅治くんと蓮二くんがそんな話をしていることなど露知らず。
るんるん気分でお醤油とお茶の葉を買いに向かっているのであった。