第1章 愛しの及川さん
2.苦しみを分けて欲しいの
高校三年、最後の春高予選。
青葉成城は烏野に負けた。
徹たちにとって、最後の春高予選。
部員たちは涙を流す。
それでも徹は泣かず、最後までキリッとしていた。
学校に戻り、ミーティングを行っている最中。
マネージャーの私は、ボトル等の片付けをしていた。
するとヘラヘラと笑みを浮かべた徹が、私の元へやって来る。
「ミーティング終わったの?」
「うん」
「そっか」
徹は私の足元に座った。
そんな所に居られたら、片付け出来ないんだけど…。
「あーあ。負けちゃったなー」
「うん」
「白鳥沢と烏野。どっちが全国に行くのかな?」
「………」
「はさ、どっちが行くと思う?」
上目遣いで見上げてくる徹。
何で?
そんな風に笑うの?
「何で…泣かないの?」
「へっ?」
気づけば徹を抱きしめていた。
そんな顔、徹は似合わないよ。
全部は無理だけど。
貴方の苦しみを分けて欲しいの。