第2章 風 の 憂 鬱 [不死川 実弥]
不死川は自分の想いと一緒に熱を吐き出したくなり、少し力を強め男根を握ると一気にしごいた。
『うっ…んっ…はぁ…はぁ…』
開け放った縁側から風が吹き込む
冷たい空気が体を包むも、今吐き出そうとしている熱を冷ますことはできない。
あいつの体は冷たかった…
風はやっぱり、お前を温めることすらできねェ
でも…
『はな…好きなんだ…お前がァ…どうしようもないくれェ…はぁっ……っ…くっ…』
抱き上げたときに隊服を握ってきたあの手も…長い睫毛が伏せられた目元も、何もかもが愛おしかった。
しごく手が速まり、背中が反ると…
『出る……うっ…っ…』
ドクドクと白濁したものが勢い良く太腿や手に流れてきた。
『はぁ…はぁ…はぁ…』
だらだらと手を伝い、太腿からも流れ落ちてしまうも動く気になれず月に視線を移す。
『はぁ…やっちまったな……煉獄、すまねェ…』
とてつもない罪悪感に襲われた。
静寂に包まれ、夜空には相変わらず月がやわらかい光を放ち闇を照らしていた。
後悔が押し寄せ、どうにもならない不死川を月が見つめていて、まるで優しく慰めてくれているようにさえ感じた。
縁側から相変わらずそよそよと流れくる風は、勢いよく吹きたい気持ちを必死に抑えているようだった。
それはまるで不死川の気持ちを表すような…
風の憂鬱…
そのものだった。
――fin.――