第4章 遭遇
その後見た映像に映っていたのは、爆豪が見た大きな黒い影とは似て非なる者だった。
金色の髪に白色のスーツ姿、そしてどちらかというと細い、ひょろっとした女のようにも見える男だった。
「、、、コイツは」
「どうだ?君が見たヴィランにどこかに共通するところは」
「ねェ、、、」
「そうか」
肩を落とす幹部達。
「もしかしたら黒いヴィランと今回の一連の事件は全く別のものということか?」
「しかしまだ彼女に聞いていないだろう?」
「彼女は今回もそして15年前にも奴に会っている。彼女の記憶の中に何かあるかもしれない」
『彼女』という言葉にハッとする。
これをアイツにも見せるのか?
心臓が嫌な音を立てた。
確かに一度しか見ていない自分よりもさくらの記憶の方が奴に繋がるかもしれない。
だが、、、。
「ちょっと待て!アイツは、、、っ、清野さくらは15年前の記憶を無くしてる。それをアテにできるとは言い切れないだろーがっ」
『おばあちゃん、、、ごめんね』
見る度にそう謝りながら涙を流すさくらの寝顔が爆豪の脳裏に浮かんで仕方がない。
「確かに、記憶を無くしているなら目撃しているのは、今回ダイナマイトが見た影と変わらないことになる、、、」
議論がアイツから離れていくことにホッとする。
アイツが思い出したくないような記憶なら、このままそっとしておいてくれと、心の底から願っている自分がいた。
「となると別の線を辿るしかないか。例えばターゲットになりそうな人物を監視するとか」
「しかし、もしあの白い男がどんな人でも操れる個性を持っていたとしたら、次は誰がターゲットになるか分からないぞ。事件の場所も様々だ」
「残念だが今ある情報だけでは、しらみ潰しにあの男を探すしかなさそうだ。だが同時に清野さくらにも協力を仰ぎたい」
「!」
その言葉に心臓が嫌な音を立てる。
「ダイナマイト、君はウラビティとともに彼女と過ごし、彼女の信頼も厚い。だからこそ君に頼みたい。彼女に協力してもらえるよう交渉をしてもらえないか?」
「、、、っ」
爆豪は拳を固く握りしめた。