第2章 新しい生活
担架に乗せられた爆豪はすっかり真っ暗になった夜空を見ていた。
「アー、クソ、いってぇ」
「そりゃそうだよ、あんな無茶するんだもん」
火傷を負った背中がジンジンと痛む。
隣で麗日が呆れている。
「ウッセー、バーカ」
無茶だった。そんなことは自分でも分かっていた。
だから強くは言い返せなかった。
「仕方ねェだろ。気がついたら身体が動いてたんだ」
「あの子、無事だったって」
「そうか。そりゃ良かった」
あの時瓦礫の下にいた女の子が、あの日亡くなった子と、そして何よりさくらと重なった。
そういえばアイツ、、、。
爆豪はここへ来る前に寂しそうに笑ったさくらの顔を思い出した。なぜそんな顔をしたのか理由は分からない。
ただ放って置けなかった。
「くっ、、、そんじゃ俺ァ、戻るわ」
「はっ!?何言ってるん?もうすぐ救急隊が来るから待っとってって言われたやん!」
「うるせぇ。終わったんなら俺は戻る、、、つッ!!」
担架から降りたところで、倒れ込む。
「ほら!そやから言ったやん!」
「クッソ、こんくらい何でもねェ、、、!」
「まったく、、、さくらちゃんならリカバリーガールと一緒だから大丈夫だよ」
「誰もアイツの為に帰るなんざ言ってねェっての!」
「はいはい」
麗日の個性で再び担架に乗せられながら、爆豪はイラついていた。
自分がなぜこんな感情になるのか。こんなことは初めてで。
さくらとはまだ会ってそれほど経っていない。
一緒に過ごすようになってからもまだ数日だ。
それなのに、アイツのことばっかり考えちまう、、、。
「あー、、、クソ、なんだこれ、、、」
戻ったら真っ先に、「おかえりなさい」なんて。
そう言って笑ってくれるか?
そんなことまで浮かんでくる始末。
「マジで、、、おかしいな、俺」
見上げた夜空に浮かぶ月が眩しくて、爆豪は目を覆って呟いた。