【ハイキュー!! 】黒尾くんのカノジョ【黒尾鉄朗】
第1章 プロローグ
side.黒尾鉄朗
知らない土地、知らない人。
全てが怖かった。
名前と出会った頃の俺は、子供ながらに傷ついていたんだ。
両親の離婚、引越し。
俺を取り巻く環境の全て一変した。
そんな時、名前と初めて会ったんだ。
「この子は近所に住んでる名前ちゃんよ。研磨の面倒を見てくれてるの」
研磨の親に紹介されても、警戒心剥き出しの俺は、挨拶をすることが出来いずにいた。
「名前ちゃん。鉄朗のことも面倒見てやってくれる?」
「うん。分かった」
フワフワと笑う少女は、俺の気持ちなんか知らない。
大人の言うことをしっかりと聞く優等生だ。
「宜しくね。えーと…てっちゃん」
「………うん…」
当時の名前は研磨のお守り役のようで、二人はいつも一緒にいた。
そこに俺も加わり、何かと名前にお節介をやかれる日々が始まったのだ。
外が真っ暗になるまで、俺たちのバレーに付き合ってくれた。
悪いことをしたら一緒に謝ってくれる。
俺の大切な幼馴染。
名前は
特別な存在だった。
名前を女と意識するようになったのは、中学に上がって身長に差がついた頃だ。
女の子に告白されて、お付き合いをする事もあった。
だが、どうしても他の子を名前と比較してしまう。
色々と経験は積んだが、俺の心は満たされない。
あのフワフワと笑う少女より、可愛い女の子を見つけることは出来なかった。
幾度の失敗を重ね、漸く名前が好きなことに気づく。
そして名前は未だ恋というものを知らない。
この物語は
絶賛片思い中の俺と
不器用なカノジョの
恋のお話。