第10章 露呈*
「まあ本当のところは五条に聞かないと分からないけどな」
「うーん…」
でも悟さんはぐらかすし。
「ほら。噂をすればなんとやらだ」
「えっ?」
硝子さんが指をさす方に悟さんの姿があった。
「あー。いたいた」
「何でいるの?」
「そりゃ。可愛い婚約者が僕を差し置いて、飲み行っちゃうんだもん。当然お迎えに来るよね」
「えー。やだ。帰りたくない」
「うわっ!何その態度!反抗期?」
硝子さんにひしっとしがみつく。
「痴話喧嘩は帰ってからやれ」
「はいはい。帰るよ」
「やだ。偶には私だって自由に飲みたい」
「苗字さん。ここは大人しく帰った方が身の為ですよ?」
硝子さんも伊地知さんも、悟さんの味方だ。
「じゃあ、縛りについて教えてくれるなら帰る」
「そんなに知りたいの?」
「うん」
「はぁ。分かったよ。帰ったら教える」
「ほんと?」
「ほんと」
名残惜しいけれど、知りたい。
私は素直に帰り支度を始めた。