第10章 露呈*
「硝子さんも伊地知さんも。今日は付き合って下さってありがとうございました」
「伊地知。これで支払っておいて」
2人にペコリと頭下げる。
すると悟さんが伊地知さんにクレジットカードを渡した。
「じゃあ。うちの子が迷惑かけたね」
「またな名前」
「お休みなさい。苗字さん」
「はい。また」
悟さんに手を引かれて店を出る。
タクシーを拾って家に着く頃には、もう日付を跨いでいた。
「名前。もう遅いし、今日は寝ようか」
「いや!話してくれるまで寝ない!」
お酒の勢いもあって、プイッと顔を背ける。
普段ならこんな態度、絶対にとれないけど。
今日の私は無敵だ。
困ったように溜息を吐いた悟さんは、私を抱き上げて膝の上に座らせた。
「僕はね、君に消えない呪いをかけたんだ」
「………」
「名前はもし今の感情が操作されてるものだとしたら…どうする?」
「えっ?」
心臓がドクッと跳ねた。
感情が操作?
自由にお酒を飲む機会を奪われて。
ムカついてること?
それとも悟さんを好きっていう。
この気持ちのこと?