第10章 露呈*
ほろ酔いになってきた。
「そういえば、この前悟さんにはぐらかされた話があるんですよ」
「へぇ。何?」
「縛りって何なんですか?」
「ははっ!五条め!」
「むぅー。伊地知さん知ってます?」
「へっ?私ですか?“縛り”ですか」
「はい」
目が据わってきてしまう。
私ってお酒入るとめんどくさい女だな。
「そうですね。“縛り”はあくまで自分に課すものなので、私には苗字さんの“縛り”は分かりかねます」
自分に課す?
何それ?
「硝子さーん!」
「お前は酒が入ると面倒だな」
「それは自分でも思います!」
「これは私の憶測だけどな。五条はお前を自由にする代わりに、欲求をかきたてる“縛り”を交わしたんじゃないか?」
「欲求をかきたてる?」
「人間には食欲、睡眠欲、性欲があるだろ?それだ」
硝子さんの言っている意味が分からない。
「五条は精霊だったお前にそういう人間らしさを教えたかったんじゃないか?」
精霊だった私に与えた欲求。
私は人間になりたかった。