第9章 過去
「その肉には不老不死の力が宿ると言う」
胡散臭いおばあちゃんが悟さんに言って聞かせる。
悟さんはおばあさんに笑みを向ける。
そして彼女を殺した。
捕らわれていた私を見つけてくれる。
「もう自由だよ」
悟さんに連れられて海へ来た。
私は悟さんに笑みを向けると、水の中へと進んでいく。
澄み切った青い海。
揺れる海藻の茂みで魚たちが泳いでいる。
私は自由だ。
ゆっくりとした時間流れる。
ふと海面に影が見えて、悟さんが来たと分かった。
今よりも更に大人になった悟さん。
「愛してる」
(私も愛してる)
「何年経っても、また君を見つける」
(待ってる)
「この瞳を覚えておいて」
(覚えていたい)
「また来世で」
そう約束した悟さんに、永遠の命を取り除いて貰う。
(さようなら。私の愛する人)
私は彼に口づけをして、プツリと消えた。