第9章 過去
身体を切り刻まれて、悲鳴をあげる。
(嫌っ!痛いっ!痛いっ!助けてっ!助けてっ!助けてぇー!)
何度も何度も身を切られる。
切っても切っても再生する私の身体。
泣きながら助けを求めたけれど、誰も助けてくれない。
嫌だ。
痛い。
怖い。
「助けて…。悟さん…」
朦朧とする意識の中で、唯一発した言葉。
『名前さん。大丈夫よ。少し進みましょう』
先生の声に安心して、また深く潜る。
また視線が変わった。
広間に大勢の子どもたちが並んでいるのが見える。
彼らは揃って夕食を食べ始めた。
その中には悟さんもいる。
空腹だったのか、とても上品とは言えない食べ方をする子供たち。
そこからは地獄の絵図のようだった。
突然、苦しみだす子供。
身体の原型を失くし、次々に死んでいく。
そこで、ただ一人。
悟さんだけが無事で、返り血を浴びている。
悟さんは箸を止めた。
彼らが食べていたのは何度も切り刻まれた私の肉だったのだ。