第9章 過去
「一つ言っておくわね。過去は必ずしも良いものとは限らないの。だから何か起こっても責任はとれない。硝子ちゃんは一応医師免許持ってるからいいけど、貴方は大丈夫?」
「大丈夫…じゃ…ないかも…」
悟さんの顔が曇る。
私を祓ったんだもん。
当然、傷ついてるよね。
「クズは待合室で待ってるか?」
「名前さんは?どっちの方がリラックスできる?」
「えっ?私?」
悟さんの顔を見る。
「一緒にいたいです」
「じゃあ、彼には近くにいて貰いましょう」
「はい」
「名前…僕は…」
またそんな顔をして。
悟さんには笑っていて欲しいの。
「何があっても側にいて?」
「うん」
無意識に手を繋いでいた。
「じゃあ名前さん。ここに横になって」
「はい」
「目を閉じて。私の声に従ってね」
「はい」
「大きく息を吸って。吐いて。そのままゆっくり深呼吸を続けて」
先生の声に集中する。