第8章 疑問*
「んんっ…あれ?」
目が覚めると知らないベッドで寝ていた。
あれ?
ここって悟さんの宿舎?
部屋を見渡すが悟さんはいない。
どこ行ったんだろう?
あ、そういえば指は?
傷はきれいに治っていた。
私の身体は一体どうしてしまったんだろう。
とりあえず乱れている服を整えて部屋を出る。
医務室って確かこっちだったよね?
廊下を曲がるとドンッと誰かにぶつかってしまった。
「ぶっ!すみません!」
「あっ、悪いっ!大丈夫?」
ぶつかったと思われる彼を見た瞬間、ドクンッと心臓が跳ねる。
何?
怖い…。
変な汗が出る。
逃げなきゃ。
本能がそう叫んでる。
きちんとした謝罪もせずに私は走りだした。
あっ。
あった!
医務室!
急いでドアを開けて、バタンと閉める。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「どうしたの?名前。顔真っ青だよ」
医務室には家入さんと悟さんがいた。
恐怖のあまり、人目も憚らず、私は悟さんに抱きついた。