第8章 疑問*
「マジでどうしたの?」
「さっき…廊下で、怖い男の子に会った…」
「怖いって何かされたの!?」
違う。
悟さんが思っているようなのとは違う。
私は首を横に振った。
「あれは…何か悪いもの」
「どういうこと?」
「近づいたらいけない…怖いもの」
私が上手く言語化できないでいると、悟さんが私を宥めるようにきつく抱きしめてくれる。
「大丈夫。名前は僕が守るよ。僕は最強だから」
「…うん…」
あれは天変地異を揺るがすような最悪。
この腕の中にいないと不安で堪らなかった。
「お取り込み中、悪いんだけど苗字。朗報だよ」
「あ、はい!」
「苗字の身体は何の問題もない」
「そう…ですか…」
じゃあこの不思議な力は何なんだろう?
「日常生活に問題もないし、普通に子供も産めるってさ。良かったね。名前」
「えっ?あ、うん」
それは嬉しい。
でも、結局疑問は払拭できなかった。