第2章 転生
「ねえ?君は僕のこと…恨んでる?」
「えっ?」
徐に聞かれて、答えに戸惑う。
言っている意味が分からないよ。
何でそんな悲しそうな声してるの?
私を愛してくれてるんじゃないの?
「恨んでない…きっと…凄く…愛してた…から」
もし恨まれるような事をしていたとしても、この想いは本物だと思う。
「そっか。ありがとう」
ゆっくりと離れる体温が、名残惜しい。
「僕さ。本当は今日東京に帰る予定だったんだ」
「そうなんですか」
「でも延期するよ」
「えっ?」
「やっと君に会えたんだ。名前とたくさん話したいからね」
その言葉に“キュッ ”と胸が締め付けられた。
私も五条さんの事、もっと知りたい。
「名前はどこのホテルに泊まってるの?」
「えっと、星野リゾート」
「一緒だね」
「そうなんですか?」
先程とは打って変わって、フレンドリーに話す五条さん。
「じゃあ、行こうか」
当然のように繋がれる手。
その何気ない仕草にドキッとする。
同時に安心感を覚えた。
まるで繋がっていることが、当たり前みたいに。