第37章 略奪
何か方法はないの?
『これは特級呪物なんだ。どんなに強い蓮でもどうにもできないよ』
「でも、中からこじ開けるって言ったじゃない!」
『ごめんね。君を安心させたくて、嘘をついたんだ』
「そんな…じゃあ、この呪いは解けないの?」
『そうだよ。凄く…強い呪い』
じゃあ、私はどうすればいい?
この苦しさを一人で背負のは無理だった。
私はお義母さんに電話をして、迎えを頼む。
今日は五条家へ帰る事にした。
悟さんがいないなら、せめて悟さんの家族に一緒にいて欲しい。
「蓮。おばあちゃん達が迎えに来るまで、悪い人が追って来ないように出来る?」
「うん」
蓮や心がいくら強くても、あの件に。
私達はこれ以上関わっちゃいけない。
私たちは他人を助けられる程、強く聡いわけではない。
封印はされてしまったけど。
悟さんを連れ去られなかっただけでも良かった。
暫くするとお義母さんから着信があって。
私は心と蓮を連れて、お義母さんの元へ向かう。
「名前さん。大丈夫?」
「お義母さん…」
「大丈夫。きっと大丈夫よ」
お義母さんは事情を知っているようで。
私を宥めてくれる。
張りつめていた糸が切れて。
私はお義母さんの前で泣き崩れた。