第30章 休暇6日目①
席に着こうとすると、悟さんに引き止められた。
えっ?
何?
「ごめんね。さっきのオーダーってテイクアウトできる?」
困惑していると、悟さんは店員さんに無茶なお願いをする。
「できますよ」
「じゃあ、テイクアウトにしてくれるかな?」
「畏まりました」
悟さんを見上げる。
「悟さん?」
「何?」
「私のアイス溶けちゃうかもしれないし、食べて行こうよ」
「何とかしてくれるよ」
私のことを見ようともしない。
「悟さん。ちょっと外に出よう?」
悟さんの腕を引っ張って、店の外へ連れ出す。
店内から見えないところで悟さんの腕を離した。
「ねえ?そんなに怒んないでよ」
「僕が何に怒るの?」
「さっき男の人と話したから。それで怒ってるんでしょ?」
「別に怒ってないよ」
「じゃあ、何でそんなに感じ悪いの?」
悟さんが1歩ずつ近寄ってきて、私は後ずさる。
お店の壁際に追い詰められた。
「何でだって?」
悟さんは“ドンッ”と壁を叩きつけた。