第4章 婚約
東京に帰ってから一週間が経った。
悟さんは毎日、私の職場まで迎えに来ては泊まって行く。
半同棲の生活は結構キツいものがあった。
私の仕事は医療現場だから過酷で。
仕事が終わったらダラダラしたいのに、それが出来ない不自由さ。
悟さんのお相手をするのは、正直かなり体力を消耗する。
そしてお休みの今日。
私達は新居を見に行く約束をしていた。
数件巡って、あるマンションに辿り着く。
「あ。私、ここ好きかも…」
「へぇ。名前って気の流れとか分かるんだ?」
「うーん…分かるのかな?自分じゃ分かんないや」
「僕もここ良いと思うよ」
悟さんのお墨付きなら安心かな?
室内を見て回る。
日当たりもいいし、キッチンも私好み。
「うん。ここ良い。雰囲気かな?ここならゆっくり寝れそうだし」
「まあ。悪いものがあっても僕が祓うけどね」
「それなら安心だね」
「うん」
二人で笑い合っていると、不動産屋さんが気まずそうにしている。
忘れてた。