第28章 休暇4日目*
お昼に生しらす丼を食べて、神社を巡る。
「あー。御朱印帳持ってくればよかった…」
「えっ?名前、御朱印なんて集めてたの?」
「え?そうだけど…何で?」
「そうなら言いなよ。日本中の寺社仏閣巡ってるんだから」
「それって任務でしょ?」
「そうだけど?」
「違うの!全然違うの!御朱印は、ここに行きましたよーっていう心の思い出なの!」
ほんとデリカシーないんだから。
任務で行った御朱印なんて全然嬉しくないよ。
「そういうもん?」
「そういうもんだよ」
首を傾げる悟さんの手を引っ張って歩く。
崖の上から海を見る。
「うわぁ…キレイッ!キレイだね!」
キャッキャッとはしゃぐ私を、悟さんが後ろから抱きしめる。
不思議に思って見上げると、少し悲しそうに笑っていた。
「どうしたの?」
「君が海に帰らないように、捕まえてるんだ」
バカだなぁ。
こんなに好きな人がいるに、今更どこに帰るっていうんだろ?
私の帰る場所は、いつだって悟さんがいる所なのに。