第22章 懐胎*
「名前は我慢しすぎ。僕に出来ることある?」
「…ある…」
「何?」
「…抱きしめて…」
悟さんの腕に縋るって泣く。
この温もりで不安を全部かき消して。
「蓮はすごいんだよ」
「何が?」
「心、まだかなー?って僕に毎日聞くんだ」
「えっ?」
「あとは、やたらと君にココアを作りたがる」
「毎日持って来てくれるココアって、蓮が作ってるの?」
「うん。僕も手伝ってるけどね」
全然知らなかった。
「あれ飲むとね、不思議と楽になるの」
「へぇ。そうなんだ」
「不思議な子」
ふふっと笑ってしまう。
「名前と僕の子だから無敵なんだよ。僕、もう負けそう」
「ははっ!」
「あの子が呪術師の道を選んだら、大物になるだろうね」
「そんなにー?」
笑っていられたのも束の間だった。
「この前、低級呪霊をデコピンで祓ってたよ」
「えっ!?嘘でしょ!?」
「本当。2歳半でさ。末恐ろしいよ」
「それは…確かに」
身も蓋もない話をしていると気が紛れた。