第22章 懐胎*
お昼になって、蓮が帰ってきた。
「ママー」
「お帰り、蓮。今日は誰に遊んでもらったの?」
「あのねーパン!」
パン?
「ああ。パンダくんね」
「パンダ?」
「まあ、いいか」
サンドイッチを作っていると、足にへばり着く蓮。
「こらー。ママの足で遊ばないのー」
「あははっ!」
「もう…蓮はパパにそっくりなんだから」
「パパ?」
「そう。ママを困らせる達人」
「誰が何の達人だって?」
ビクッとする。
ブリキのように後ろを見ると悟さんがいた。
「パパー」
「何だー?蓮。ママを困らせてたのかー?」
「うん」
そんな得意気な顔しないでよ。
困ったさん2人を相手するの大変なんだから。
「名前。僕が作るよ」
「まだ悪阻ないし。大丈夫だよ?」
心配症だな。
「そうじゃなくてさ。今の内に蓮と一緒にいてやってよ」
「…ああ。そっか…うん…」
そうだね。
もし、蓮の時みたいに弱っていくなら。
そんな姿を蓮に見せたくはないな。