第17章 払拭*
散歩の後。
自室で蓮におっぱいをあげながら、加茂くんに言われた事を思い返す。
私もいつか、このちっちゃい手と離れてしまうのかな?
そういえば悟さんはどうやって育ったんだろう?
そういう話を聞いてなかった。
ぼんやりと考えていると、廊下からドタバタと五月蠅い音が聞こえてくる。
何の騒ぎだろ?
突然バンッと自室のドアが開いて、悠二くんが入ってくる。
「えっ?」
「えっ?」
お互い固まってしまう。
毛布で隠してはいるけれど、私は授乳中だ。
「ごめんっ!すぐ出てくからっ!」
「えっ?やっ!待って!ドアッ!開けないでっ!」
今度はお互いあたふたしてしまう。
私が大きい声を出したせいで、蓮が泣きだす始末。
「ふぎゃあーっ!ふぎゃあーっ!」
「蓮。大丈夫だよ―。よしよし」
どうにか蓮をあやしていると、またドアが開いた。
「名前ー?どうしたのー?」
「あっ、悟さん」
「あっ、五条先生…」
この状況を見て、悟さんは固まってしまった。