第17章 払拭*
中1日の休みを挟んで、再開される交流会。
どうやら明日は東京校と京都校に分かれて野球をやるようだ。
「加茂くん。こんにちは」
「名前さん。こんにちは」
「怪我の具合はどう?」
「お陰さまで快方に向かっています」
「そっか。良かった」
順調に回復してくれているなら、何より。
「お子さんの散歩ですか?」
「うん。蓮っていうの。男の子」
「五条先生のお子さんなら将来は呪術師ですね」
「そう…だね。大きくなったら仲良くしてあげて?」
「悲しそうですね」
「えっ?」
見透かすような瞳に、心臓が“どくんっ”と高鳴る。
「呪術師にさせたくないんですか?」
「………正直ね…。危険な目に遭って欲しくない」
「そうですか…。私の母は、私を産んで加茂家から去りました」
「えっ?」
加茂くんの意外な過去に驚く。
「去り際に母は言いました。人を助けた数だけ、人に認められる。そしたら今度はたんさんの人に助けて貰える。と」
「立派なお母様だね」
私は、とてもそんな風には思えないよ。