第16章 不穏*
「ところで、五条。特級呪霊が入り込んだって聞いたけど」
「うーん…祓えたかな?逃げられたかも。ははっ」
「はぁ…しっかりしろよ」
「ははっ。帳がさ、僕の侵入を拒むタイプでねー。厄介だった。数もいたし」
「何れにせよ。天元様の結界が破られたことには変わりないな」
「今頃、おじいちゃんが捕えた呪詛師を拷問してるよ」
話が全く飲み込めない。
特級呪霊。
帳。
天元様。
結界。
呪詛師。
皆、何を言ってるんだろう?
危険な目に遭ったのは、皆の傷を診れば分かる。
悟さんがいつもこんな仕事をしてると思うと、気が気がじゃない。
「今はただ待つしかできないな」
「そうだね。まあ僕は生憎やることがあったけどね」
やること?
悟さんはまだ何かあるの?
不安げに見つめてしまう。
「僕の可愛い奥さんが、きっと僕を心配してると思ってね。こうして駆けつけたんだ。ついでに君らの様子を見に来たってわけ」
「あたしらはついでかよっ!ああ?」
「まっ、悟はそういう男だよな」
野薔薇が怖い。