第16章 不穏*
また人が運ばれて来た。
「恵くん!?真希ちゃんまで!」
恵くんのお腹から気味が悪い植物が生えている。
これは私には無理だ。
「硝子さん。真希ちゃんは任せて下さい」
「頼む」
また指先を切り、私の血を真希ちゃんの傷口に垂らす。
硝子さんみたいなチート能力はないけれど。
私にもできることがあって良かった。
「名前。お前の血はどうなってんだ?」
「えっ?何が?」
パンダくんが妙な事を口にする。
皆はもっと凄いことしてるじゃん。
今更でしょ。
「分かんないけど、昔の名残ってやつかな?」
「ふーん」
私自身もよく分かってないし。
それ以上の説明の仕様がない。
「それより外はどうなってるの?」
「悟が対処してるから大丈夫だろ」
「えっ!?」
悟さんが?
不安が過ぎる。
「あのバカは大丈夫だよ」
「そうだな」
「あれでも一応、特級呪術師だしな」
パンダくんも真希ちゃんもそう言うけれど、心配でならない。